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ABOUT / 研究室の概要

 地球表面の約7割を覆う海洋は、水産資源を産み出すだけでなく、大気中に含まれる二酸化炭素濃度の上昇を緩和させる役割を持っています。その役割を担っているのが植物プランクトンです。よって、植物プランクトンによる海洋一次生産の仕組みを明らかにすることは、私たちが暮らす地球環境の未来を占う上で極めて重要になります。植物プランクトンの生長には、窒素・リンなどの主要な栄養素に加え、海水中にはごくわずかにしか溶けていない鉄などの金属元素やビタミンB群など微量成分が必要となります。しかし、これら微量成分の海洋内部での挙動は未だ不明な点が多いのが現状です。

 本研究室では、化学的な手法を用い、鉄などの金属元素やビタミンB群といった微量成分の海洋動態およびその生物活動との関わりを調べ、海洋における物質循環について明らかにするための研究に取り組んでいます。

研究内容

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海洋における鉄など微量金属元素の分布

 海洋植物プランクトンの生長に関わる微量金属元素は鉄やマンガン、ニッケル、亜鉛、銅、カドミウムなど多様です。本研究室では、生物生産の高い東シナ海周辺海域や北極海といった陸棚域などの微量金属元素の分布について調べる研究を行っています。

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海水中の鉄の化学的形態

 海洋植物プランクトンが増殖に利用する溶存態の鉄は、現場の水温、pH、溶存酸素濃度、光化学反応、溶存有機物との錯形成などの環境変化によりその化学的形態が有機錯体鉄、無機イオン鉄、無機コロイド鉄と複雑に変化します。この形態の違いにより、鉄は海水中への溶解度だけでなく植物プランクトン細胞への取り込まれ易さも変化してしまうことから、海洋鉄循環の理解のためには鉄の化学的形態の変動要因を探ることが重要になります。本研究室では、海水中の鉄の化学的形態の把握と、その形態変化が植物プランクトン増殖へ与える影響などについて調べています。

海洋におけるビタミンB群の挙動

 ビタミンB群(B1, B7, B12)は植物プランクトンによる呼吸・光合成を司るトリカルボン酸回路・カルビン回路における様々な代謝ステップでそれぞれ必要とされている補酵素ですが、真核植物プランクトンの多くはこのビタミンB群のいずれかを生合成できないことが知られています。ビタミンB群の中でも、B12の生合成能力を持たない植物プランクトンは多く、赤潮を形成する渦鞭毛藻類や珪藻類でその傾向は顕著です。本研究室では、海洋におけるビタミンB群の分布と植物プランクトン動態の関わりについて調査を行っています。

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